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コラム

2021.03.29
2020年7月10日より開始された遺言の保管制度とは

遺言書を書いた後、保管場所に悩むことも多いのではないでしょうか?2020年7月から遺言書を法務局で預かってもらえる制度がスタートしていますので、ぜひ活用しましょう。今回は、新しく開始した遺言書の保管制度について、メリットやデメリット、手続きの流れを説明します。

1. 遺言保管制度とは?

遺言書にはいくつか種類がありますが、遺言保管制度で保管してもらえるのは自筆証書遺言になります。

1-1. 自筆証書遺言は保管に困ることがある

遺言書には、自筆証書遺言や公正証書遺言といった種類があります。自筆証書遺言とは、自分で手書きして作る遺言です。最も手軽に作成できる遺言書なので、遺言書を残すなら自筆証書遺言にしたいと考える人も多いでしょう。

ところで、遺言書は本人が死亡しない限り効果が生じませんから、遺言書を書いた後、亡くなるまで保管しておかなければなりません。ここで、遺言書をどこに保管するかという問題が発生します。

自宅の机の引き出し、金庫、仏壇などに遺言書を保管することを考える人も多いでしょう。しかし、目につきやすい場所に保管すると、亡くなる前に家族などに遺言書を見られてしまうリスクがあります。遺言書を見つけた人が、こっそり中身を書き換えるようなことも起こってしまうかもしれません。一方で、見つけにくい場所に保管すると、亡くなっても発見してもらえない可能性があります。

1-2. 遺言保管制度を利用すれば法務局に預けられる

遺言保管制度は、遺言者の申請により、法務局に自筆証書遺言を保管できる制度です。「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が2020年(令和2年)7月10日に施行され、全国の法務局で遺言書の保管申請ができるようになっています。

遺言保管制度では、遺言を書いた人自らが法務局に出頭し、遺言書の保管を申請する必要があります。手続き後は遺言書の原本が法務局に保管されるだけでなく、遺言書の画像がデータ化されコンピュータ・ネットワークに保存されます。これにより、遺言者が亡くなった後、相続人などが原本を閲覧したり、画像データのコピーを請求したりすることが可能になります。

2. 遺言保管制度のメリット

遺言保管制度の開始により、自筆証書遺言がこれまでよりも利用しやすくなります。遺言保管制度のメリットを具体的に見てみましょう。

2-1. 遺言書の紛失や改ざんを防止できる

遺言書を法務局に保管しておけば、自分で遺言書の保管場所を決めて管理する必要がなくなります。法務局に預けておけば、遺言書が紛失する心配はありません。家族が勝手に遺言書を破棄したり、書き換えたりするリスクも防げます。

2-2. 形式面で遺言書が無効になるリスクがなくなる

自筆証書遺言は、民法に定められた様式で作成されていなければ無効です。遺言の保管制度では、保管申請時に法務局の窓口で、自筆証書遺言の要件をみたしているかどうか確認が行われます。様式を確認してもらえるため、形式面で遺言書が無効になるリスクはなくなります。

2-3. 全国どこの法務局からでも遺言書の内容がわかる

遺言書が保管されている場合、相続開始後に相続人等が遺言書情報証明書の交付を請求して、遺言書の内容を知ることができます。遺言書の情報は法務局のコンピュータ・ネットワークに保存されているため、全国どこの法務局でも遺言書情報証明書の交付ができるようになっています。遠方の法務局で保管されている遺言でも、近くの法務局を通じて内容を確認できるということです。

2-4. 相続人が遺言書を探しやすくなる

遺言保管制度では、遺言書保管事実証明書の交付を請求し、亡くなった人の遺言書が法務局に保管されているかどうかを確認することもできます。遺言書を保管すれば保管証が発行されるため、亡くなった人が持っていた保管証により遺言書保管の事実がわかることもあります。いずれにしろ、相続人にとっては、遺言書を探す手がかりが増えることになります。

2-5. 検認が不要になる

自筆証書遺言の場合、相続開始後に家庭裁判所で検認手続きを受けなければ、相続手続きができないのが原則です。遺言保管制度で保管されている自筆証書遺言については、例外的に検認が不要になり、遺言書情報証明書があれば相続手続きができる扱いになっています。検認が終わるのを待つ必要がないので、相続開始後すぐに手続きに取り掛かることができます。

2-6. 遺言書の存在だけ知らせて内容を秘密にできる

遺言書保管制度では、遺言書を書いた本人が亡くならない限り、相続人が遺言書の内容を知ることができません。相続人には遺言書が法務局に保管していることだけを知らせて、内容については亡くなるまで秘密にすることも可能です。

2-7. 一部の相続人だけで手続きが進められるのを防止できる

遺言書保管制度においては、相続人の誰かが遺言書原本の閲覧や遺言書情報証明書の交付を請求した場合、他のすべての相続人等に通知が届くシステムになっています。遺言書の存在を知っている一部の相続人だけで相続手続きを進めてトラブルになるような事態を防ぐことができます。

2-8. あらかじめ指定した人に遺言書の存在を知らせてもらえる

法務局に遺言書を保管した場合、自分が死亡したらあらかじめ指定した人1名に遺言書の存在を通知してもらう制度も用意されています。死亡時通知については2021年(令和3年)以降運用開始予定とされており、具体的な運用方法などは未定です。

3. 遺言保管制度のデメリット

メリットの多い遺言保管制度ですが、デメリットはないのかも気になるでしょう。遺言保管制度のデメリットや課題としては、以下のようなことがあります。

3-1. 手続きのために法務局に行かなければならない

遺言書を法務局で保管してもらうには、遺言書を書いた人自らが、あらかじめ予約した上で法務局の窓口まで手続きに出向かなければなりません。保管の申請ができる法務局は、住所地、本籍地、所有している不動産の所在地のいずれかを管轄する場所と決まっており、必ず本人が出頭する義務があります。

管轄の法務局から遠い場所にいる場合や本人が病気等で動けない場合、代理人が保管手続きをすることはできません。遺言保管制度を利用したくても、本人の状況によっては利用できないケースもあります。また、法務局の窓口の受付時間は平日8時30分から17時15分なので、平日仕事で忙しい人もなかなか法務局に行けないかもしれません。

法務局に行く手間はかかりますが、遺言保管申請の手続きは1日で終わります。公正証書遺言に比べると手続きが簡単な点はメリットと言えます。

3-2. 手数料がかかる

遺言保管制度の利用には手数料がかかります。たとえば、保管申請時には3,900円の手数料がかかることになります。相続人等が遺言書の閲覧や証明書の請求をする場合にも、手数料が発生します。

遺言保管制度の手数料の金額は、次のようになっています。

出典:法務省ホームページ
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00010.html

遺言書を自宅で保管すれば手数料はかからないため、手数料がかかる点はデメリットとも考えられます。ただし、遺言保管制度の手数料はそれほど高くはなく、公正証書遺言を作成するよりも安くすみます。安い手数料で有効な遺言書を残せる点は、メリットと考えてもよいでしょう。

3-3. 遺言書が発見されない可能性もある

遺言保管制度を利用しても、遺言書が必ず発見されるわけではありません。遺言書が発見されないまま、相続手続きが行われてしまう可能性はあります。ただし、発見されない可能性があることは、他の方法で遺言書を作成・保管しても同様ですから、特に遺言保管制度のデメリットというわけではありません。

まだ運用されていませんが、遺言保管制度では死亡時の通知制度が用意されています。今後は、他の方法と比べて遺言書が発見されやすくなることが予想されます。

3-4. 遺言書の内容についてはチェックしてもらえない

遺言書を保管するときには、様式に則って作成されているか確認してもらえますが、遺言の内容について法務局で関与してもらえるわけではありません。遺言の内容については、別途専門家に相談した方がよいことがあります。

4. 保管申請の手続きの流れ

遺言保管制度を利用するためには、法務局に遺言書を持って行き、保管申請をする必要があります。保管申請の流れは、次のようになっています。

4-1. 【手順①】自筆証書遺言を作成

遺言書はあらかじめ作成して法務局に持参する必要があります。自筆証書遺言のルールに従って手書きで遺言書を作成し、署名捺印します。遺言書に添付する財産目録については、パソコンでの作成も可能です。不動産登記事項証明書や預貯金通帳のコピーを添付して財産を特定してもかまいません。

4-2. 【手順②】保管申請書を作成

保管申請書の書式、記載例はインターネットでダウンロード、参照できますから、事前に記入しておきましょう。法務局の窓口で用紙をもらうこともできます。

遺言書の保管申請書
http://www.moj.go.jp/content/001321933.pdf

記載例・注意事項
http://www.moj.go.jp/content/001321953.pdf

4-3. 【手順③】手続きの予約をする

遺言書の保管申請は予約制になっています。予約は、次の3つの方法のいずれかで行います。

(1) インターネットで予約

「法務局手続案内予約サービス」の専用ホームページから、管轄の法務局を選んで予約ができます。インターネットなら、24時間365日いつでも予約可能です。

法務局手続案内予約サービス
https://www.legal-ab.moj.go.jp/houmu.home-t/top/portal_initDisplay.action

(2) 電話予約

保管申請をする法務局に受付時間内に電話すれば予約できます。

(3) 窓口で予約

保管申請をする法務局の窓口に出向いて予約する方法もあります。

4-4. 【手順④】法務局で保管の申請をする

予約した日時に次のものを持って法務局の窓口に行き、保管の申請をします。

・遺言書

遺言書はホッチキス止めしたり封筒に入れたりせず、そのまま提出します。

・保管申請書

あらかじめ記入した保管申請書を提出します。

・住民票

本籍の記載のある住民票(発行から3か月以内のもの)が必要です。

・本人確認書類

マイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、パスポート等を持参します。

4-5. 【手順⑤】保管証の受け取り

遺言書の保管手続きは、申請したその日に完了します。手続きが完了すると保管証が発行されるので、これを受け取ります。

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