解決事例
- 2021.06.15
- 認知症への備え、家族で備えることの大切さ
お客様のご状況
八王子市在住の80代の男性Aさんの相談です。
Aさんのご家族は奥様と二人の息子さんです。現在は八王子市の一戸建てに奥様と二人暮らしですが、最近は夫婦共に少しずつ物忘れが気になりはじめ、体力の衰えを感じ、今後の生活のことを家族で話し合うことにしました。
長男家族は近くに住んでいて、両親に何かあればできる範囲で手助けすると言ってくれました。
次男家族は仕事の都合上、遠方に住んでおり、両親のことは全面的に兄に任せると言い、その代わり、自分は遺産を相続するつもりはないとの考えでした。
当センターのご提案
Aさんの財産は八王子市の自宅と八王子駅近くのワンルームマンション1部屋、預貯金は1000万円程です。
長男夫婦にも仕事があり、子供も学生でまだお金がかかるので、Aさん夫婦としては近いうちに夫婦で老人ホームに入ることが現実的と考えています。
夫婦で生活できるうちはしたいとの考えから、自宅は施設入居費や生活費が足りなくなった場合に備えて、長男の判断で速やかに売却できるように長男を受託者として家族信託することを提案しました。
万が一売却時にAさんが認知症になっていた場合に備えるためです。ワンルームマンションは、老朽化が心配なのことと、賃貸オーナーであることの煩雑さから家族から早めに手放して欲しいとの要望があったため、元気なうちに売却することにしました。 その他の財産については、面倒を見てくれた長男に全て相続させるという内容の遺言を作成しました。大学が近くにあり、駅近の好立地だったこともあり、すぐに買い手も見つかりました。全てAさんが元気なうちにしかできない解決策でした。
当センターのサポートにより実現したこと
もしこのままAさんが何もせずにいたら、自宅はAさんが認知症になってしまった後には不動産は成年後見人をつけなければ売却できません。
施設の入所費用の捻出は長男夫婦がしなくてはならず、Aさん夫婦の希望する施設に入ることが難しくなっていたかも知れません。仕事をしながらの介護や親の不動産の管理も加われば、長男夫婦の経済的、精神的負担も大きくなります。Aさんが元気なうちだからこそ、家族の意向も聞くことができ、自分の手で自分の財産を整理することができました。手続きが全て終わった後のAさんはとても充実した笑顔を見せてくれました。ご家族も、今後は安心してAさんとのんびりした時間を過ごすことができると喜ばれていました。
生前に家族に財産を明かすこと、今後の話をすることは抵抗がある方が多いかもしれません。
しかしながら、元気なうちに万が一の話し合いをしておくことは、相続後の財産の分け方とは切っても切り離せないものと考えられます。
平等に分配するのか、親の面倒を見た者が相続するのか、これまでの家族関係やその時々や状況によって気持ちは変わるので、一概には言えませんが、これから起こる問題を家族間で共有し、乗り越えていくことで結果的に「争族」の予防にも繋がるのではないかと思います。
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